お箏奏法ひとりごと ~ お箏の和音(わおん)は、ピアノとは大違い!

お箏弾き方 → お箏の和音(わおん)は、ピアノとは大違い!

和音(わおん)とは洋楽の音楽理論上は〈3つ以上の異なる音高を同時に奏することでコードを示すもの〉という概念。
いわゆるピアノでいうと、右手の主旋律に対応して左手で奏するドミソなどのコードを同時に三本の指で鍵盤を押して奏でる音。

それではお箏の場合はどうでしょう?

お箏の場合[合わせ爪]という奏法で親指と中指にはめている箏爪で同時に箏糸を弾くのが最もシンプルで、上記のピアノで行っている和音と同じような和音でしょう。

しかし、人間の指は10本あって、右手にはめている箏爪だけで演奏していては、お箏の面白さ表現するには不十分!

まずは、人差し指にはめている箏爪も使い三音での和音。
同時に左手の指を使ってピチカートすれば重なる音はさらに4、5、6…と増えてゆきます。
当然、箏爪で絃をはじく音と、指ではじく音(ピッチカート)は全くちがうものですから、音にピアノの和音では表現できない豊かさが広がってゆきます

生田流での左指ではじく表記は

















です。同時に奏する絃名を横一列に並べて記載して、さらに左手で演奏するものは丸で囲んだり「左」と字を添えたりします。

















五線譜の場合は音符の上部に「+」記号を付してピッチカートであることを明記してある〈親切な〉楽譜もたまにあります















しかし、多くの場合は左手と右手の使い分けやどの指を使うか奏者に任せられます。

和音でも複数の音は同じボリューム、同じ音色にせず、〈芯になる大切な音とその他の音〉〈アンサンブルの場合の他のパートとのバランス〉などを考えて指使いを決める場合もありますが、4音以上などの多くの音を同時に弾く場合はとにかく3本の爪と左手でどう分担するか!?に、演奏者は頭をひねります。
爪で弾く音とピッチカートは明らかに音色が違いますし、ピッチカートでも、どの指を使うかによって(指の強さによる)音色が違ってきます。
そこが、聴く人にとって、同じ曲でも演奏者により音色が違うお箏の醍醐味!
そして、演奏者にとっても、指をどう使うか考えるのは迷う作業でもあり響きの違いを楽しむ、お箏の醍醐味!

ちなみに、
3本の爪をはめた指ごとの音の違いは古典曲ならば〈主旋律を奏する親指〉に対して合わせ爪、かけ爪、かき爪、輪連、などの〈技法による変化を担うのが人指し指や中指〉でしたが現代作品ではその概念は取り払われつつあります。
とはいえ、箏の初歩でまず習得するのは親指の基本奏法であることは現在も変わりないのです。基本の上に、お箏という楽器の本物の実力が引っ張り出されるのです!

[KORORIN-SHANN & Tone]

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