お箏奏法ひとりごと ~ どうしてお箏は、音が鳴るの?

お箏弾き方 → どうしてお箏は、音が鳴るの?

お箏は、桐の木でできています。

しかも、会津の山で育った自然木。


この自然木を伐りだし、何年も乾燥させたのち、職人さんはやっとお箏の製作にかかります。

野山に自然に生えていた木ですから、木目は様々、それが木味(きあじ)となって、お箏の甲(糸を張る部分)を彩ります。そして、その木目によってもお箏の音色が変わってきます。

そのため、職人さんは、自然木の丸太の中から、どういった形で切り出せが、最高の音色と、木目を持つお箏を作れるか、考えて・・・考えて、切っていきます。

甲に模様のない、まっすぐな木目のお箏の柾目(まさめ)。奏でると、余韻のまっすぐな音色がします。
龍の乗る雲のような模様の、玉目(たまもく)。音色は複雑で艶やか。

どちらも数十年年輪を経てきた桐の木しか出せない音です。

箏爪で弾かれた絃の振動は、お箏の上と下についている角(糸を支えている白い硬いアーチ状の物)により調整されて、糸を伝ってお箏の内部にはいり、共鳴箱となっているお箏の内部空間で、音を増幅させます。

共鳴箱の内部に施された、職人による手彫りの「綾杉彫、麻葉彫」が、増幅された音をさらに複雑な豊かさを加えます。

そうして増幅された音は、お箏の裏に開いている二つの音穴から演奏会場全体に響き渡るような音となって、ほとばしります。

共鳴箱であるお箏の作りには、上甲とくり甲という二つの種類があります。

上甲は、甲と裏板がはっきり分かれた形状です。一般的に、上甲は、甲の厚さが若干薄いため、弱い力でも良い音を出しやすいです。購入してすぐに良い音が楽しめます。(甲の厚みが薄めの為、振動が共鳴箱に伝わりやすく、初心者の方でも簡単に弱い力で音を響かせることができます。)

くり甲は、お箏の表(甲)から裏板までくり込むように作られています。甲の厚みがあるので、数年弾き込んでゆくうちに音色に深みと柔らかみが出てきます。そのため、弱い力と、しっかりしたタッチで弾く場合の音に違いを出すことができるため、演奏家にとって面白い楽器です。長く楽しむ場合は、くり甲が良いです。(上甲に比べて甲に厚みがあるため、音を響かせるのにそれなりの力を必要としますが、音の強弱、つまりテンションの変化を上手く出せます。そのため、腕の良い演奏家にオススメです。)

。数年弾き込んでゆくうちに音色に深みと柔らかみが出てきます。演奏家にとっては面白く、しっかりしたタッチで弾きこなす場合は、ある程度の甲の厚みが必要なこともあり、くり甲が良い楽器です。


自然の木と、職人さんの技、演奏する方の三者の力が合わさって奏でられる音色は、やはり、生の演奏会で聞いていただきたい、と思います。


















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箏の演奏会では楽器紹介といって曲間のトークで材質、構造、技法などをお話しすることがよくあります。
箏をヒョイと持ち上げて裏側を客席に向ける。上下2箇所の音穴を見せて「コンコン」と裏板をノックして響きを聴いてもらうと〈共鳴胴〉だということが感覚的にも理解してもらえるんです。実際、無垢の板と思われがちですから。
あと、これは演奏会の最中にはできないことだけど、実際に楽器に触れてもらったり、ワークショップなどで体験するときに良く聞くのは「え〜!?糸ってこんなに強く張ってあるんですか?!切れないんですか?」と予想以上の弦の張力に驚きの声。
そして、重心を乗せて弦を弾く手指の力加減を実感すると、自ずと『なぜ箏の音は響くのか?』が理解できるんデス
箏の伝統的な楽曲、演奏スタイルの印象から楽器も演奏者も繊細で柔らかいイメージが先行しているようで現代の500人規模の会場での演奏会でマイクなしで響く箏は「思っていたより」という言葉が前置きされて驚嘆してもらっています。
多くの皆さんに楽器の魅力を伝えるには良い演奏をお届けするのと同じくらい楽器を体験、理解していただくことが大切ですね、、
これからもコンサートのトークでは「コンコン」!!がんばります

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